一般社団法人半導体産業人協会


SSIS第4回「多摩会」(講演会・懇親会)報告

今年3月の第3回に続いて、今回も講演会と懇親会の2部構成で以下のように実施しました。

1.日時

2015年8月31日(月) 15:00~19:30

2.場所

八王子東急スクエアビル(八王子駅前)内
〒192-0083 八王子市旭町9番1号

  1. 講演会‐八王子学園都市センター第2セミナー室
    八王子東急スクエアビル 12F
    Tel: 042-646-5611
  2. 懇親会‐スカイラウンジ・クレア
    八王子東急スクエアビル 11F
    Tel: 042-643-2333

3.出席者

今回も、前回と同様に多摩会会員だけでなく、関東全域の会員の方々にも参加を呼び掛けました。多摩会からの参加者は9名と前回よりさらに少なくなりましたが、堀江洋之氏の興味深い講演内容と相俟って、他の地域から10名と多くの参加をいただき、たいへん盛会でありました。ご出席いただいたのは、下記の方々(敬称略、順不同で記載)です。

喜田 祐三、金原 和夫、栗原 岩雄、志村 幸雄、高橋 令幸、溝上 裕夫、向 喜一郎、村田   純、川本 佳史、
島  亨、八幡 惠介、相原 孝 、高畑 幸一郎、藤井 嘉徳、渡壁 弥一郎、藤江 明雄、野澤 滋為、高垣 孝、中尾 誠男

4.講演会

1.テーマ‐「ニュートン祭 誕生秘話 」(科学技術創造立国へのマイルストン)

2.講師‐堀江洋之氏

1938年横浜市磯子区生まれ。1961年横浜国立大学物理科卒業後、三洋電機株式会社に入社され、半導体デバイスの研究開発に従事、その間、米国RCA社半導体技術センターに留学されました。
その後、東京エレクトロン研究所(現東京エレクトロン(株))に入社され、副技師長、営業部長、企画部長、経営企画部長を歴任され、グルーブの事業戦略立案、推進に従事されました。またこの間、政府委員や業界団体の役員などを歴任されてきました。現在は、著述家として活躍されており、全国歴史研究会本部運営委員、水戸の会会長、横浜歴史研究会副会長を務められ、また半導体産業人協会会員です。

主な著書には、「古き地に情念の形が見える」、「黄金比の世界」、「天藾を聞く」、「堀江一族物語」があります。

3.講演会の概要

講演会(15:00〜17:00)で堀江氏は、御自身で作成された数多くの貴重な掛け図を用いて、歴史上や地理上における様々な人間関係を縦横無尽に展開された。まさに堀江氏の歴史に対する強い調査力と深い洞察力が発揮された内容であり、出席者との活発な質疑応答が行われました。以下、講演内容を紹介します。

氏は学生時代に「ニュートン祭」に出席したことがありますが、その祭りは神聖な行事ではなく、まさに「忘年会」そのものでありました。天才的大学者「ニュートン」との大きな落差に違和感を覚えましたが、誰が何時頃からこの祭りを始めたのかということには興味を持ち続けていました。最近母校の横浜国立大学物理科でそれが開催されていないのを知り、その復活を願い、「ニュートン祭」の起源について調査を始めました。

調査の結果、東京大学物理学科1期生の田中舘愛橘博士が「ニュートン祭」の元祖であり、その師は東京帝大総長の山川健次郎博士であることに辿りつきました。明治12年(1879)12月(明治13年(1880)12月25日と記載の著書もある)に当時東京大学物理学科の学生であった田中舘の発案で、実験の機械を壊したのを教師にお詫びに行くに際してクリスマスをやろうということになりました。幸いにもその日がニュートンの誕生日であったことから「ニュートン祭」ということにして、みんなで大騒ぎをしました。これが東京大学理学部物理学科の「ニュートン祭」の始まりです。

「ニュートン祭」とは、いつも勉学に明け暮れる学生、研究に没頭している研究者や技術者であっても、1年に1度ぐらいは研究分野や年齢を問わずにいろいろな人々が一堂に会し、飲んだり、食ったり、歌ったりの大騒ぎをして、仲間との絆を深め、コミュニケーション力を強化し、新たな知見を得ることが、物理学の発展には必要であるとの考えで始まったものです。

山川博士は会津藩士の子孫でした。会津藩は、戊辰戦争に破れた後、厳寒の地である下北半島の斗南藩に移封され、山川もそれに従いました。田中舘博士は、南部藩士の子孫で、一家で東京に移住して慶應義塾、東京開成学校予科を経て明治11年(1878)に東京大学理学部に入学しています。「ニュートン祭」の発案が幕末から明治初期の動乱の中を生きぬいてきた東北地方の出身者であり、日本における物理学創生に大きな功績を残したことは、誠に感慨深いものがあります。

講演では、時には「ニュートン祭」から離れて、幕末から明治にかけての様々な出来事や人と人との繋がりなどについてのお話にまで拡がり、活発な質疑応答、意見交換が行われました。また、堀江氏の御厚意によりその著書「堀江一族物語」を販売し、完売いたしました。

5.懇親会

懇親会(17:00〜19:30)は、講師の堀江洋之氏にもご参加いただき、スカイラウンジ・クレアのパーティールームで開催しました。ビールで乾杯した後、各自それぞれ談笑しながら食事と日本酒、焼酎、ワインなどを楽しんでいただきました。途中で、自己紹介と近況報告を行っていただきました。和気あいあいのうちに、多くの情報交換ができ、親睦を深めることができました、皆様それぞれの方面で活躍されており、参考になるお話も多々ありました。ここでの話を機に、筆者はココナッツオイルを毎朝パンにつけて食べるようになりました。

この懇親会は、まさにSSIS版「ニュートン祭」と言えるのではないでしょうか。終盤には、堀江氏からは横浜国立大学のニュートン祭で合唱する歌を披露していただきました。作詞不詳ですが、その歌詞を下記に紹介します。

「線路の豚」

  1. 線路の上に豚がいて 向こうから汽車がやってきた 豚は汽車をよけるため 線路の向こうにおりてった そんなこたぁ どうでもかまやせぬ 酒さえ飲めればそれでいい
  2. 豚の上に汽車がいて 向こうから線路がやってきた 汽車は線路をよけるため 豚の向こうにおりてった そんなこたぁ どうでもかまやせぬ 酒さえ飲めればそれでいい
  3. 汽車の上に線路がいて 向こうから豚がやってきた 線路は豚をよけるため 汽車の向こうにおりてった そんなこたぁ どうでもかまやせぬ 酒さえ飲めればそれでいい

6.参加者

多摩会では、文化活動の一環として今後も会員相互の親睦と情報交換の機会を持つことを計画したいと思っております。今回の懇親会でほぼ話がまとまり、次回は来年2月か3月頃に、「太極拳とイノベーション」(仮題)というテーマで向喜一郎氏にご講演いただくことを予定しています。ご自身の体験をもとに大変興味深いお話が聞けるものと思っております。時期が参りましたら、多摩会および関東全域の会員の方々にご案内いたします。是非ご参加を検討いただく様、宜しくお願いいたします。

(文責 川本)

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